早期退職を夢見て

Dreaming of early retirement

ドイツ

以前旅行中に知り合った友達。
初めて会ったのはインドのプリーという海辺の町で、ちょうど年越しの時期で同じホテルで一緒に新年を迎えた。その後、インドの他の場所でも会い、ちょうど旅の方向が同じく西だったので、パキスタンやイランの、ビザや情報をメールでやりとりしながら、互いに旅を続けていた。
イランからトルコに入ったところで、彼からメールがあった。《テヘラン睡眠薬強盗に遭ったが無事です、今イスタンブールにいます》。
ぼくら夫婦は、トルコの観光をすっとばして、長距離バスでイスタンブールに向かい、《睡眠薬強盗に遭ったけど命に別状が無くてよかったねパーティー》と銘うって再会を祝して飲みまくった。

真面目で融通が利かなくて、要領が悪くて、でも最高に楽しい奴。

ぼくたちの西への旅はエジプトで終わりタイ経由で帰国したけれど、彼はその後、欧州、南米へと渡り、彼の旅の最後の場所は一足先に帰国した北海道のぼくらの家だった。

あれから二年間、彼は一切の贅沢をしないでお金を蓄え、今年の6月に永住目的でドイツに渡る。
「お金貯まって、ビザも申請して、後は飛行機のチケットを買うだけ。でも、最近怖くてしかたないんですよ。仕事が見つかるかどうか、今回は旅行じゃないですから……」

そりゃ、怖いよな、、それでも行くのさ。失敗したらまたうちに遊びにおいで。

ぼくは、日本でもうちょっとやることがある。そのうち遊びにいくよ。