エルヴェ・ギベール、初めて読んだのは「ぼくの命を救ってくれなかった友へ」。当時はエイズが社会現象まっさかりの時代で、死に向かって書き続けた生き方と、しびれるようなタイトルにはまった。
彼の絶筆、「楽園」はまだ読んでなかったんだけど、いい。
特に後半、断片的なイメージの重なり、物語と現実の微妙な間合い、死を決められたものだけが書くことを許される清浄な狂気。その清浄さゆえ南の島でさえ、空気がよどんだ不浄な舞台に感じられる。
ギベールはこれを書いているとき、これを書かせている自分の病気をどう感じていたのだろう。
いつの間にかぼくは、彼の死んだ歳、36歳を越えたんだ。