早期退職を夢見て

Dreaming of early retirement

栗本薫 死去

早すぎるっていうか終わってねぇと大声で叫びたい。

彼女が紡ぐ物語に始めて出逢ったのは1982年、ぼくは14歳だった。
まだ日本ではめずらしかったヒロイック・ファンタジー、圧倒的な世界観。
独特の文体が当時中学生のぼくには難解だったが、その物語の虜になった。

グイン・サーガ

高校の頃は出会う人みんなに勧め、今でもたまに会う友人とは「グイン・サーガ」の話で盛り上がる。
しばらく会わなくてもグインの話をきっかけに昔のようになめらかに話ができるようになる。

社会人になってなれない土地で寂しい思いをしていたときも、この本に助けられた気がする。
しばらく外国に旅に行って戻ってくると、たまった数冊を読むのが楽しみだった。
結婚してからはヨメも愛読者になって、一緒に感想を話した。

高校の頃の計算だと36歳の頃、全100巻が完結する予定だった。

いつの間にかぼくはその歳を越え、物語自体も100巻では終わらなかった。

最近では早く終わって欲しい気持ちといつまでも終わらないでいて欲しい気持ちがまじっていた。

まだ56歳だぜ、続きを心待ちにしているやつがたくさんいるのに、死んじまうなんて。

正伝126巻外伝21巻、こんなにもありがとうというべきか、この続きはどうするんだというべきか。
28年間、人生の3分の2付き合ってきた物語が未完のまま今終わる。
最終巻「豹頭王の花嫁」、読みたかった。
最後の巻が「黒衣の女王」って、あなたそのままだよ。

ありがとう。