朝、出掛けに見たテレビニュースで、6434人が犠牲になった阪神大震災から、
昨日でちょうど12年が経ち、さまざまな追悼行事が営まれた様子をやっていた。
「12年も経ったのかぁ」
この感慨の中身は、犠牲になった方々への追悼の気持ちよりも、
過去の自分の旅への郷愁のほうがはるかに大きい。
当時、ぼくは、会社を辞めて、初めての一人旅に出ていた。
それまで数回、海外旅行に行ったことはあったが、予約のない旅は、
それが初めてだった。
ほぼ、ユーラシア大陸を横断するルートで期間は1年。
今のように、ネットや情報が、さほど無かったし、カンボジアやアフガニスタンは
紛争の真っ最中だったので、苦労も多かった。
イスラエルのキブツで、崩壊する遥か東の故国の街を呆然と眺めていた。
9.11同時多発テロのときは、ヨメとの二人旅の出発日。
閑散とした成田空港の雰囲気と、これから始まる1年間の旅への不安、
決して忘れることはない。
万事がこんな感じで、何かにつけて、旅と結び付けてしまう性癖がついてしまった。
何かにふれる度に、旅を思い出し、懐かしみ、新たな旅を夢見る。
それは、往々にして現実から逃げ出すことにつながる。
自分の足が地に着いていないのだ。
日本での生活が、まるで旅の準備の為のように想え、ぼくが住むべき本当の世界は
ここではないように感じてしまう。
だから、仕事に対しておざなりになったり、人に対して誠実でなくなったりする。
それでは、いけないと思いつつも、凄惨な事件が多いこの国が好きになれず、
人懐っこくもさっぱりとした南国に恋焦がれる。
今、生きているこの場所を大切にして、今やるべきことをやる。
そう思って努力する1年間でありたい。
それにしても、旅に出たいなぁ(本音)。