４年前の９月１２日の早朝、成田空港に近い妹夫婦の家のテレビで世界貿易センタービルに
突っ込んでいく旅客機をぼうぜんと見ていた。
その日は、６年勤めた会社を辞めて、嫁と１年間の予定で旅に出るまさにその日だった。
辞める前の数年間は旅の準備の為だけに働いていた。
お互いの両親の説得、各種手続き、貯金、部屋、車の処分、そして退職。
やっとそこまで来た出発の朝、テロの重大さよりも、バンコク行きの飛行機が飛ぶのか？
そのほうがぼくにとっては、深刻な問題だった。
エアーインディアは数時間遅れでぼくたちを南の国に連れて行ってくれたが、その日の
成田の国際便は７，８割が欠航で、あんなに閑散としていて、一種異様な雰囲気だった空港を
忘れることはないだろう。
そして、ぼくたちの旅が始まり、タイ、ラオス、ベトナム、カンボジア、インド、ネパール、
パキスタン、イラン、トルコ、シリア、ヨルダン、エジプトと周り、最後にまたタイで
のんびりして、１年後の９月１４日、日本に帰って来た。
北海道の戻るフェリーの中で、旅が終わることは、途方も無く悲しかったけど、
これから、嫁と２人で、どんな厳しいことも泣き言を言わず、楽しくやっていこうと
決めた。物を書こう、いつか必ずタイに戻ろうと誓った。
それから、３年。
自分で納得できる生き方をしているか？
「９・１１」は様々なことを思い出させてくれる。
